ひつじの住処です
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「僧侶様っ!ただいまー!」
大きく手を振って小走りに駆け寄ってくる子羊を、僧侶様は優しく抱き留めました。
「おかえりなさい。」
「ただいまっ!」
「また傷だらけだね…女の子は気をつけないと駄目だよ。」
「えへへ………」
僧侶様は子羊の白いの頭を優しく撫でます。
すると淡い光とともに、子羊の体中の傷があっという間に消えてゆきました。
「僧侶様の治療はあったかいの。」
幸せそうに笑う子羊を見て、僧侶様もまた優しく微笑みました。
「キミもあったかいよ。」
「えへへ、だってひつじはひつじなのっ!」
「そうだったね。」
僧侶様はまたにっこりと微笑みます。
そして、思い出したように静かに首をかしげました。
「そういえば、キミは自分をひつじと呼ぶけれど…名前は?」
「なまえ?」
「うん、キミの名前。」
今度はゆっくりと、子羊が首をかしげます。
「ひつじはひつじなのよ。」
「んー…それはそうなんだけど……キミのお父様もお母様もひつじだよね?」
「ふぇ…………」
子羊はまばたきひとつ。
「そういえばそうね。」
「キミ自身の名前は、ないのかな?」
「んー…………?」
子羊はまた首をかしげます。
そして、悲しげにまぶたを伏せ、首を振りました。
「よく分からないの。」
「そうか…困ったね。」
僧侶様はひつじの頭をそっと撫でながら、首をかしげました。
「そうだ、キミの天使様に聞いてみようか。」
「ふぇ………?」
「天使様ならきっと教えてくれるんじゃないかな?」
「ほんと!天使様なら分かるかなっ!」
「うん、きっと分かるよ、ね、天使様?」
僧侶様は優しく微笑みながら、そっと腕を差し出します。
すると、その腕に真っ白い鸚鵡が降り立ちました。
子羊は目を輝かせてその姿を見つめます。
「てんしさま………!私のこと見てた天使様なのね?」
「あー……うん、まぁ………?」
鸚鵡は困惑したように頭をかき、そして助けを求めるように僧侶様を見つめました。
それに対し、僧侶様はにっこりほほえみかけます。
「天使様、この子が名前を知りたいって。」
「んなもんオイラが知るわけ………」
「天使様なら分かると思ったんだ。」
「あんなぁ、かいぬしさm………」
「ねぇ、分かるよね、天使様?」
何か訴えようとする鸚鵡の言葉を、僧侶様の笑顔が遮ります。
鸚鵡は仕方ないとため息ひとつ。
首をかしげる子羊に視線を移しました。
「羊っ子の名前………ねぇ?」
「私の名前…………」
「なぁ、オイラも分からんからテキトーにつけるんよ?」
「天使様がつけてくれるの?」
鸚鵡の言葉に、子羊は目を輝かせます。
「うれしいのっ!つけて欲しいの!私の名前!!!」
「オイラでいいん?」
「貴方は私の天使様なの!だからうれしいの!」
「うー…………」
鸚鵡はそのキラキラした瞳から視線をそらし、口の中で何かつぶやきます。
「ひつじ…まとん………ししけばぶー………らむにく…………らむ………らむ?」
そしてやがて、ゆっくりと子羊の瞳を見つめなおしました。
「らむ…………はどーぉ?」
「らむ………?」
「ん、オマエん名前。ダメ?」
「らむ…………らむ!うんっ!らむ!かわいいの!!!」
子羊はうれしそうに微笑み、そしてぺこりと頭を下げました。
「ありがとうなの!素敵なお名前なの。私、この名前大事にするのよ!」
「んー、それなら良かった。」
「良かったね。これからキミは、らむちゃんだね。」
僧侶様がにっこりと、子羊に微笑みかけます。
ひつじはそれに応えるように、笑いかけました。
「うんっ!僧侶様も、ありがとうなの!」
「僕は何もしてないよ。」
「でも、ありがとうなの!私は、幸せなの!!」
その言葉の通り、子羊は幸せそうに笑います。
「そうだっ!旦那にも教えてあげるの!私はらむなの!」
「そうだね。いってらっしゃい。」
「いってきます!またね、僧侶様!天使様!!!」
「うん、またね。」
「じゃあなぁ~」
うれしそうに振り返りながら、手を振りながら、子羊は人混みの中に消えてゆきます。
それを見送りながら、僧侶様はうれしそうに笑いました。
「パロット、バレちゃったね。」
「飼い主様、超ド級の無茶振り!」
「僕、ネーミングセンスないんだ。」
「知ってる!」
白い鸚鵡は拗ねたようにため息をつくと、その純白の羽を広げました。
「んじゃ、オイラも行ってくるんよ!」
「うん、よろしくね、らむちゃんの天使様。」
「はいよぉ~」
真っ青な空に、白い雲のような鸚鵡が飛び立ちます。
その姿が小さくなって見えなくなるまで、僧侶様はうれしそうに空を眺めていました。
大きく手を振って小走りに駆け寄ってくる子羊を、僧侶様は優しく抱き留めました。
「おかえりなさい。」
「ただいまっ!」
「また傷だらけだね…女の子は気をつけないと駄目だよ。」
「えへへ………」
僧侶様は子羊の白いの頭を優しく撫でます。
すると淡い光とともに、子羊の体中の傷があっという間に消えてゆきました。
「僧侶様の治療はあったかいの。」
幸せそうに笑う子羊を見て、僧侶様もまた優しく微笑みました。
「キミもあったかいよ。」
「えへへ、だってひつじはひつじなのっ!」
「そうだったね。」
僧侶様はまたにっこりと微笑みます。
そして、思い出したように静かに首をかしげました。
「そういえば、キミは自分をひつじと呼ぶけれど…名前は?」
「なまえ?」
「うん、キミの名前。」
今度はゆっくりと、子羊が首をかしげます。
「ひつじはひつじなのよ。」
「んー…それはそうなんだけど……キミのお父様もお母様もひつじだよね?」
「ふぇ…………」
子羊はまばたきひとつ。
「そういえばそうね。」
「キミ自身の名前は、ないのかな?」
「んー…………?」
子羊はまた首をかしげます。
そして、悲しげにまぶたを伏せ、首を振りました。
「よく分からないの。」
「そうか…困ったね。」
僧侶様はひつじの頭をそっと撫でながら、首をかしげました。
「そうだ、キミの天使様に聞いてみようか。」
「ふぇ………?」
「天使様ならきっと教えてくれるんじゃないかな?」
「ほんと!天使様なら分かるかなっ!」
「うん、きっと分かるよ、ね、天使様?」
僧侶様は優しく微笑みながら、そっと腕を差し出します。
すると、その腕に真っ白い鸚鵡が降り立ちました。
子羊は目を輝かせてその姿を見つめます。
「てんしさま………!私のこと見てた天使様なのね?」
「あー……うん、まぁ………?」
鸚鵡は困惑したように頭をかき、そして助けを求めるように僧侶様を見つめました。
それに対し、僧侶様はにっこりほほえみかけます。
「天使様、この子が名前を知りたいって。」
「んなもんオイラが知るわけ………」
「天使様なら分かると思ったんだ。」
「あんなぁ、かいぬしさm………」
「ねぇ、分かるよね、天使様?」
何か訴えようとする鸚鵡の言葉を、僧侶様の笑顔が遮ります。
鸚鵡は仕方ないとため息ひとつ。
首をかしげる子羊に視線を移しました。
「羊っ子の名前………ねぇ?」
「私の名前…………」
「なぁ、オイラも分からんからテキトーにつけるんよ?」
「天使様がつけてくれるの?」
鸚鵡の言葉に、子羊は目を輝かせます。
「うれしいのっ!つけて欲しいの!私の名前!!!」
「オイラでいいん?」
「貴方は私の天使様なの!だからうれしいの!」
「うー…………」
鸚鵡はそのキラキラした瞳から視線をそらし、口の中で何かつぶやきます。
「ひつじ…まとん………ししけばぶー………らむにく…………らむ………らむ?」
そしてやがて、ゆっくりと子羊の瞳を見つめなおしました。
「らむ…………はどーぉ?」
「らむ………?」
「ん、オマエん名前。ダメ?」
「らむ…………らむ!うんっ!らむ!かわいいの!!!」
子羊はうれしそうに微笑み、そしてぺこりと頭を下げました。
「ありがとうなの!素敵なお名前なの。私、この名前大事にするのよ!」
「んー、それなら良かった。」
「良かったね。これからキミは、らむちゃんだね。」
僧侶様がにっこりと、子羊に微笑みかけます。
ひつじはそれに応えるように、笑いかけました。
「うんっ!僧侶様も、ありがとうなの!」
「僕は何もしてないよ。」
「でも、ありがとうなの!私は、幸せなの!!」
その言葉の通り、子羊は幸せそうに笑います。
「そうだっ!旦那にも教えてあげるの!私はらむなの!」
「そうだね。いってらっしゃい。」
「いってきます!またね、僧侶様!天使様!!!」
「うん、またね。」
「じゃあなぁ~」
うれしそうに振り返りながら、手を振りながら、子羊は人混みの中に消えてゆきます。
それを見送りながら、僧侶様はうれしそうに笑いました。
「パロット、バレちゃったね。」
「飼い主様、超ド級の無茶振り!」
「僕、ネーミングセンスないんだ。」
「知ってる!」
白い鸚鵡は拗ねたようにため息をつくと、その純白の羽を広げました。
「んじゃ、オイラも行ってくるんよ!」
「うん、よろしくね、らむちゃんの天使様。」
「はいよぉ~」
真っ青な空に、白い雲のような鸚鵡が飛び立ちます。
その姿が小さくなって見えなくなるまで、僧侶様はうれしそうに空を眺めていました。
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「僧侶さま!」
駆け寄ってくる子羊を見て、僧侶様はにっこりと優しく微笑みました。
「元気そうで安心したよ。」
「待っててくれたの?」
「そろそろ帰ってくる頃だと思ったからね。」
僧侶様はそっと子羊の頭を撫でます。
ふんわりとした手つきに、子羊は表情をゆるめました。
「僧侶様はあったかいの。」
「ありがとう。怪我は治ったかな?」
「めぇ?」
ひつじは言われて自分の体を見つめます。
確かに、手の傷も、足の傷も、すべて綺麗になくなっていました。
「ふぇ………これは僧侶様の力なの?」
「これが僕の本職だからね。」
「めぇ!すごいの!僧侶様すごいの!」
ひつじの脳裏に自分をいつも守ってくれる大切な人の姿がよぎります。
「ねぇ、ひつじにも使える?」
「うーんそうだね。確かキミが歌ったら、不思議な事が起こったよね。」
「ふしぎ?」
「んー…無意識だったかな?」
ひつじが首をかしげると、僧侶様も首をかしげて笑いかけました。
「音は不思議だね。人の心を動かすんだ。」
「う?」
「大切な人のことを考えながら歌ってごらん。きっといいことが起こるよ。」
「大切なひと………旦那ね!」
「そうだね。大好きって想うキモチはきっと旦那さんの助けになるよ。」
「うん!大好きってキモチは負けないの!ひつじがんばるの!」
幸せそうに笑うひつじの頭を、僧侶様はもう一度優しく撫でました。
「さぁ、旦那さんがきっと待ってるよ、いってらっしゃい。」
「うん!ひつじ、強くなって旦那びっくりさせちゃうの!」
「がんばってね。」
「じゃあまたね!僧侶様!!!」
ひつじは鼻歌を歌いながら去っていきます。
その歌声に乗ってふわり、かすかな光と花が舞いました。
「素敵な力だね、パロット?」
僧侶様はひつじの後ろ姿を見ながら、独り言のようにつぶやきます。
するとどこからともなく真っ白な鸚鵡が僧侶様の帽子の上に舞い降りました。
白い鸚鵡は流暢に言葉を紡ぎます。
「あれ、飼い主様がやったん?」
「まさか。あれはあの子の力だよ。」
「ふぅん………」
鸚鵡は子羊の姿を見、目を細めました。
「でも危ういんよ。ちょっとでも想いを疑ったらそれは………」
「そうだね。パロットにお願いがあるんだけど…」
「なーんとなく分かって嫌なんよ!また飼い主様の側離れろって言うに決まってる!」
「良く分かるね。」
僧侶様は鸚鵡に優しく微笑みかけます。
「僕じゃ二人のお邪魔になっちゃうからね。パロット、あの子達についてあげて。」
「うー…………」
「こっそり…ね?」
「あー………飼い主様は羊っ子に甘いなぁ………」
「そうかもしれないね。じゃあパロット、頼んだよ。」
「はいよぉ~」
パロットは間延びした返事をし、空に舞い上がります。
ふと、空中で何かを思ったのか、僧侶様の方に向き直りました。
「なー飼い主様?」
「なぁに?」
「羊っ子は羊に戻ることはないん…?」
「気になる?」
「それなりに?」
パロットの返事を聞き、僧侶様はにっこりと微笑みました。
「パロットは優しいね。」
「だって気になるじゃんかー」
「そうだね。あの子にかかってる魔法はキモチの魔法だよ。」
「キモチ?」
「そう。ヒトになりたいっていう強いキモチ。
それだけじゃないね。あの子が使うのもキモチの魔法。」
「ぜーんぶ羊っ子の気分次第ってことか!」
「まぁ、そうだね。」
パロットの言葉に僧侶様は笑います。
「あの子がヒトでいられるのは、幸せだから。
あの子が歌えるのは、幸せだから。
ねぇ、あの子の周りは幸せでいっぱいだよ、パロット。」
「そうなんかもねぇ…?」
パロットは観念したように、その真っ白な羽を宙で一振り。
「じゃあ行ってくるんよ。あいつがずっと幸せでいられるように。」
「お願いね。あの子がずっと笑っていられますように。」
白い鸚鵡は青い空に吸い込まれるように飛んでゆきます。
ふわり、白い羽が舞いました。
「もし居るのであれば神様、あの子がずっと幸せでありますように。」
僧侶様は静かに十字を切ります。
ふわり、強い強い光と花が舞いました。
駆け寄ってくる子羊を見て、僧侶様はにっこりと優しく微笑みました。
「元気そうで安心したよ。」
「待っててくれたの?」
「そろそろ帰ってくる頃だと思ったからね。」
僧侶様はそっと子羊の頭を撫でます。
ふんわりとした手つきに、子羊は表情をゆるめました。
「僧侶様はあったかいの。」
「ありがとう。怪我は治ったかな?」
「めぇ?」
ひつじは言われて自分の体を見つめます。
確かに、手の傷も、足の傷も、すべて綺麗になくなっていました。
「ふぇ………これは僧侶様の力なの?」
「これが僕の本職だからね。」
「めぇ!すごいの!僧侶様すごいの!」
ひつじの脳裏に自分をいつも守ってくれる大切な人の姿がよぎります。
「ねぇ、ひつじにも使える?」
「うーんそうだね。確かキミが歌ったら、不思議な事が起こったよね。」
「ふしぎ?」
「んー…無意識だったかな?」
ひつじが首をかしげると、僧侶様も首をかしげて笑いかけました。
「音は不思議だね。人の心を動かすんだ。」
「う?」
「大切な人のことを考えながら歌ってごらん。きっといいことが起こるよ。」
「大切なひと………旦那ね!」
「そうだね。大好きって想うキモチはきっと旦那さんの助けになるよ。」
「うん!大好きってキモチは負けないの!ひつじがんばるの!」
幸せそうに笑うひつじの頭を、僧侶様はもう一度優しく撫でました。
「さぁ、旦那さんがきっと待ってるよ、いってらっしゃい。」
「うん!ひつじ、強くなって旦那びっくりさせちゃうの!」
「がんばってね。」
「じゃあまたね!僧侶様!!!」
ひつじは鼻歌を歌いながら去っていきます。
その歌声に乗ってふわり、かすかな光と花が舞いました。
「素敵な力だね、パロット?」
僧侶様はひつじの後ろ姿を見ながら、独り言のようにつぶやきます。
するとどこからともなく真っ白な鸚鵡が僧侶様の帽子の上に舞い降りました。
白い鸚鵡は流暢に言葉を紡ぎます。
「あれ、飼い主様がやったん?」
「まさか。あれはあの子の力だよ。」
「ふぅん………」
鸚鵡は子羊の姿を見、目を細めました。
「でも危ういんよ。ちょっとでも想いを疑ったらそれは………」
「そうだね。パロットにお願いがあるんだけど…」
「なーんとなく分かって嫌なんよ!また飼い主様の側離れろって言うに決まってる!」
「良く分かるね。」
僧侶様は鸚鵡に優しく微笑みかけます。
「僕じゃ二人のお邪魔になっちゃうからね。パロット、あの子達についてあげて。」
「うー…………」
「こっそり…ね?」
「あー………飼い主様は羊っ子に甘いなぁ………」
「そうかもしれないね。じゃあパロット、頼んだよ。」
「はいよぉ~」
パロットは間延びした返事をし、空に舞い上がります。
ふと、空中で何かを思ったのか、僧侶様の方に向き直りました。
「なー飼い主様?」
「なぁに?」
「羊っ子は羊に戻ることはないん…?」
「気になる?」
「それなりに?」
パロットの返事を聞き、僧侶様はにっこりと微笑みました。
「パロットは優しいね。」
「だって気になるじゃんかー」
「そうだね。あの子にかかってる魔法はキモチの魔法だよ。」
「キモチ?」
「そう。ヒトになりたいっていう強いキモチ。
それだけじゃないね。あの子が使うのもキモチの魔法。」
「ぜーんぶ羊っ子の気分次第ってことか!」
「まぁ、そうだね。」
パロットの言葉に僧侶様は笑います。
「あの子がヒトでいられるのは、幸せだから。
あの子が歌えるのは、幸せだから。
ねぇ、あの子の周りは幸せでいっぱいだよ、パロット。」
「そうなんかもねぇ…?」
パロットは観念したように、その真っ白な羽を宙で一振り。
「じゃあ行ってくるんよ。あいつがずっと幸せでいられるように。」
「お願いね。あの子がずっと笑っていられますように。」
白い鸚鵡は青い空に吸い込まれるように飛んでゆきます。
ふわり、白い羽が舞いました。
「もし居るのであれば神様、あの子がずっと幸せでありますように。」
僧侶様は静かに十字を切ります。
ふわり、強い強い光と花が舞いました。
【蛍火の宙】
「ちょっと休んでてね。」
そうい言い残して旦那は小走りにどこかへ行って。
戻ってきた時には手に白いふわふわなものを持ってた。
「これ、ひつじみたいだよね。」
そう言いながら、旦那は真っ白なふわふわを私に差し出したの。
雲みたいな、私の毛みたいな。
「なぁに?」
「あげるよ。」
「ふぇ、ありがとうなの!」
ふわふわの物体に、手を伸ばしてみる。
これ、つかめるのかな?雲みたい!
「ちょ………!」
その雲に触れるか触れないかのところで、私のおてては旦那に捕まれてた。
ぎゅーって。
ちょっとどきどきしちゃうのよ。
旦那は笑いながら私を見ていて。
「手べとべとになるよ?」
「そうなの?」
「そうなの。ほら。」
ふわふわについてる木の棒を私に握らせてくれたの。
「食べてごらん?」
「食べれるの?」
この、ふわふわの雲が?
私の毛は、食べたって美味しくないのよ。
「きっとひつじが好きな味だよ。」
「ふえ…」
一口。
やっぱりそれはふわふわで。
でも口に入れるとすーっと溶けてった。
「あ…甘い!」
「気に入った?」
「うん!これ好き!!美味しい!!」
「良かった。」
甘くて優しくて。
なんだか幸せな味がするの。
「やっぱりひつじは、色気より食い気かな?」
「めぇ?」
「いいよ食べてて。」
「うー………?」
ダメなの、いい女は色気もなきゃダメなの!
だから食べながら考えるの。
でもよく分からないな…
旦那の方を見ると、蛍さん達が一匹二匹………
きらきらしながら飛んで行った。
「ひつじ、ふわふわも好きだけど、旦那といられるのが一番幸せなのよ。」
「……………」
旦那は何故か一瞬すごく驚いた顔をして。
で、にっこり笑ってくれた。
「ありがとう。」
幸せしあわせ。
旦那の横で食べるふわふわだから、きっと幸せの味がするのね。
ずっと旦那の隣なの。
ずーっといっしょなの。
ひつじは、とっても幸せなのよ。
「草がイチバン美味しいの!旦那は何が好き?」
「あの歩行雑草さん、美味しいのかなぁ?」
「この前オカシもらったの!甘いのね!ひつじ初めて食べたのよ!」
ずっとお喋り出来るの。
コトバって何て素敵なんだろう。
楽しいこと、うれしいこと、全部伝えられるの。
旦那の後ろで私はお歌を歌うの。
私の前に立って闘ってくれる旦那のために、歌うの。
私の歌声はどんな風に貴方に響いてるのかな?
歌うと故郷を思い出すの。
優しい気持ちになれるの。
音楽ってなんて素敵なんだろう。
私はすごくすごく幸せなの。
旦那も、こんな気持ちでいてくれるかな?
ねぇ、私はずっと隣にいて良いのかな?
この幸せがずっと続きますように。
ずーっといっしょなの。
ひつじは、とっても幸せなのよ。
「草がイチバン美味しいの!旦那は何が好き?」
「あの歩行雑草さん、美味しいのかなぁ?」
「この前オカシもらったの!甘いのね!ひつじ初めて食べたのよ!」
ずっとお喋り出来るの。
コトバって何て素敵なんだろう。
楽しいこと、うれしいこと、全部伝えられるの。
旦那の後ろで私はお歌を歌うの。
私の前に立って闘ってくれる旦那のために、歌うの。
私の歌声はどんな風に貴方に響いてるのかな?
歌うと故郷を思い出すの。
優しい気持ちになれるの。
音楽ってなんて素敵なんだろう。
私はすごくすごく幸せなの。
旦那も、こんな気持ちでいてくれるかな?
ねぇ、私はずっと隣にいて良いのかな?
この幸せがずっと続きますように。
今日は、ひつじの飼い主様のお話をするの。
ヒトになる前、ひつじは牧場で暮らしていたの。
ふわふわの家族がいっぱいいたの。
あとわんこさんもいたのよ、いつも私を追いかけるの。
私は母様の後について、そのわんこさんからいつも逃げていたのよ。
それと、私の大好きな飼い主様。
素敵なヒトだったの。
私の憧れの女性なのよ。
いつも笑顔で、私に話しかけてくれたのよ。
「今日は旦那がね~」
「旦那ったらね~」
いつも「旦那」が出てくるの。
とってもうれしそうな顔してお喋りしてるから。
とってもとっても幸せそうに笑うから。
きっと飼い主様にとって「旦那」はとってもとっても大切な人なのね。
私はそんな飼い主様をいつも見てたから、自分にも素敵な旦那が見つかるといいなぁって思っていたの。
飼い主様とは別れてしまったけど。
母様も兄弟もわんこさんもいないけど。
ねぇ、私は今、飼い主様みたいにシアワセそうに笑えているのかな?
ヒトになる前、ひつじは牧場で暮らしていたの。
ふわふわの家族がいっぱいいたの。
あとわんこさんもいたのよ、いつも私を追いかけるの。
私は母様の後について、そのわんこさんからいつも逃げていたのよ。
それと、私の大好きな飼い主様。
素敵なヒトだったの。
私の憧れの女性なのよ。
いつも笑顔で、私に話しかけてくれたのよ。
「今日は旦那がね~」
「旦那ったらね~」
いつも「旦那」が出てくるの。
とってもうれしそうな顔してお喋りしてるから。
とってもとっても幸せそうに笑うから。
きっと飼い主様にとって「旦那」はとってもとっても大切な人なのね。
私はそんな飼い主様をいつも見てたから、自分にも素敵な旦那が見つかるといいなぁって思っていたの。
飼い主様とは別れてしまったけど。
母様も兄弟もわんこさんもいないけど。
ねぇ、私は今、飼い主様みたいにシアワセそうに笑えているのかな?
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