ひつじの住処です
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「僧侶さま!」
駆け寄ってくる子羊を見て、僧侶様はにっこりと優しく微笑みました。
「元気そうで安心したよ。」
「待っててくれたの?」
「そろそろ帰ってくる頃だと思ったからね。」
僧侶様はそっと子羊の頭を撫でます。
ふんわりとした手つきに、子羊は表情をゆるめました。
「僧侶様はあったかいの。」
「ありがとう。怪我は治ったかな?」
「めぇ?」
ひつじは言われて自分の体を見つめます。
確かに、手の傷も、足の傷も、すべて綺麗になくなっていました。
「ふぇ………これは僧侶様の力なの?」
「これが僕の本職だからね。」
「めぇ!すごいの!僧侶様すごいの!」
ひつじの脳裏に自分をいつも守ってくれる大切な人の姿がよぎります。
「ねぇ、ひつじにも使える?」
「うーんそうだね。確かキミが歌ったら、不思議な事が起こったよね。」
「ふしぎ?」
「んー…無意識だったかな?」
ひつじが首をかしげると、僧侶様も首をかしげて笑いかけました。
「音は不思議だね。人の心を動かすんだ。」
「う?」
「大切な人のことを考えながら歌ってごらん。きっといいことが起こるよ。」
「大切なひと………旦那ね!」
「そうだね。大好きって想うキモチはきっと旦那さんの助けになるよ。」
「うん!大好きってキモチは負けないの!ひつじがんばるの!」
幸せそうに笑うひつじの頭を、僧侶様はもう一度優しく撫でました。
「さぁ、旦那さんがきっと待ってるよ、いってらっしゃい。」
「うん!ひつじ、強くなって旦那びっくりさせちゃうの!」
「がんばってね。」
「じゃあまたね!僧侶様!!!」
ひつじは鼻歌を歌いながら去っていきます。
その歌声に乗ってふわり、かすかな光と花が舞いました。
「素敵な力だね、パロット?」
僧侶様はひつじの後ろ姿を見ながら、独り言のようにつぶやきます。
するとどこからともなく真っ白な鸚鵡が僧侶様の帽子の上に舞い降りました。
白い鸚鵡は流暢に言葉を紡ぎます。
「あれ、飼い主様がやったん?」
「まさか。あれはあの子の力だよ。」
「ふぅん………」
鸚鵡は子羊の姿を見、目を細めました。
「でも危ういんよ。ちょっとでも想いを疑ったらそれは………」
「そうだね。パロットにお願いがあるんだけど…」
「なーんとなく分かって嫌なんよ!また飼い主様の側離れろって言うに決まってる!」
「良く分かるね。」
僧侶様は鸚鵡に優しく微笑みかけます。
「僕じゃ二人のお邪魔になっちゃうからね。パロット、あの子達についてあげて。」
「うー…………」
「こっそり…ね?」
「あー………飼い主様は羊っ子に甘いなぁ………」
「そうかもしれないね。じゃあパロット、頼んだよ。」
「はいよぉ~」
パロットは間延びした返事をし、空に舞い上がります。
ふと、空中で何かを思ったのか、僧侶様の方に向き直りました。
「なー飼い主様?」
「なぁに?」
「羊っ子は羊に戻ることはないん…?」
「気になる?」
「それなりに?」
パロットの返事を聞き、僧侶様はにっこりと微笑みました。
「パロットは優しいね。」
「だって気になるじゃんかー」
「そうだね。あの子にかかってる魔法はキモチの魔法だよ。」
「キモチ?」
「そう。ヒトになりたいっていう強いキモチ。
それだけじゃないね。あの子が使うのもキモチの魔法。」
「ぜーんぶ羊っ子の気分次第ってことか!」
「まぁ、そうだね。」
パロットの言葉に僧侶様は笑います。
「あの子がヒトでいられるのは、幸せだから。
あの子が歌えるのは、幸せだから。
ねぇ、あの子の周りは幸せでいっぱいだよ、パロット。」
「そうなんかもねぇ…?」
パロットは観念したように、その真っ白な羽を宙で一振り。
「じゃあ行ってくるんよ。あいつがずっと幸せでいられるように。」
「お願いね。あの子がずっと笑っていられますように。」
白い鸚鵡は青い空に吸い込まれるように飛んでゆきます。
ふわり、白い羽が舞いました。
「もし居るのであれば神様、あの子がずっと幸せでありますように。」
僧侶様は静かに十字を切ります。
ふわり、強い強い光と花が舞いました。
駆け寄ってくる子羊を見て、僧侶様はにっこりと優しく微笑みました。
「元気そうで安心したよ。」
「待っててくれたの?」
「そろそろ帰ってくる頃だと思ったからね。」
僧侶様はそっと子羊の頭を撫でます。
ふんわりとした手つきに、子羊は表情をゆるめました。
「僧侶様はあったかいの。」
「ありがとう。怪我は治ったかな?」
「めぇ?」
ひつじは言われて自分の体を見つめます。
確かに、手の傷も、足の傷も、すべて綺麗になくなっていました。
「ふぇ………これは僧侶様の力なの?」
「これが僕の本職だからね。」
「めぇ!すごいの!僧侶様すごいの!」
ひつじの脳裏に自分をいつも守ってくれる大切な人の姿がよぎります。
「ねぇ、ひつじにも使える?」
「うーんそうだね。確かキミが歌ったら、不思議な事が起こったよね。」
「ふしぎ?」
「んー…無意識だったかな?」
ひつじが首をかしげると、僧侶様も首をかしげて笑いかけました。
「音は不思議だね。人の心を動かすんだ。」
「う?」
「大切な人のことを考えながら歌ってごらん。きっといいことが起こるよ。」
「大切なひと………旦那ね!」
「そうだね。大好きって想うキモチはきっと旦那さんの助けになるよ。」
「うん!大好きってキモチは負けないの!ひつじがんばるの!」
幸せそうに笑うひつじの頭を、僧侶様はもう一度優しく撫でました。
「さぁ、旦那さんがきっと待ってるよ、いってらっしゃい。」
「うん!ひつじ、強くなって旦那びっくりさせちゃうの!」
「がんばってね。」
「じゃあまたね!僧侶様!!!」
ひつじは鼻歌を歌いながら去っていきます。
その歌声に乗ってふわり、かすかな光と花が舞いました。
「素敵な力だね、パロット?」
僧侶様はひつじの後ろ姿を見ながら、独り言のようにつぶやきます。
するとどこからともなく真っ白な鸚鵡が僧侶様の帽子の上に舞い降りました。
白い鸚鵡は流暢に言葉を紡ぎます。
「あれ、飼い主様がやったん?」
「まさか。あれはあの子の力だよ。」
「ふぅん………」
鸚鵡は子羊の姿を見、目を細めました。
「でも危ういんよ。ちょっとでも想いを疑ったらそれは………」
「そうだね。パロットにお願いがあるんだけど…」
「なーんとなく分かって嫌なんよ!また飼い主様の側離れろって言うに決まってる!」
「良く分かるね。」
僧侶様は鸚鵡に優しく微笑みかけます。
「僕じゃ二人のお邪魔になっちゃうからね。パロット、あの子達についてあげて。」
「うー…………」
「こっそり…ね?」
「あー………飼い主様は羊っ子に甘いなぁ………」
「そうかもしれないね。じゃあパロット、頼んだよ。」
「はいよぉ~」
パロットは間延びした返事をし、空に舞い上がります。
ふと、空中で何かを思ったのか、僧侶様の方に向き直りました。
「なー飼い主様?」
「なぁに?」
「羊っ子は羊に戻ることはないん…?」
「気になる?」
「それなりに?」
パロットの返事を聞き、僧侶様はにっこりと微笑みました。
「パロットは優しいね。」
「だって気になるじゃんかー」
「そうだね。あの子にかかってる魔法はキモチの魔法だよ。」
「キモチ?」
「そう。ヒトになりたいっていう強いキモチ。
それだけじゃないね。あの子が使うのもキモチの魔法。」
「ぜーんぶ羊っ子の気分次第ってことか!」
「まぁ、そうだね。」
パロットの言葉に僧侶様は笑います。
「あの子がヒトでいられるのは、幸せだから。
あの子が歌えるのは、幸せだから。
ねぇ、あの子の周りは幸せでいっぱいだよ、パロット。」
「そうなんかもねぇ…?」
パロットは観念したように、その真っ白な羽を宙で一振り。
「じゃあ行ってくるんよ。あいつがずっと幸せでいられるように。」
「お願いね。あの子がずっと笑っていられますように。」
白い鸚鵡は青い空に吸い込まれるように飛んでゆきます。
ふわり、白い羽が舞いました。
「もし居るのであれば神様、あの子がずっと幸せでありますように。」
僧侶様は静かに十字を切ります。
ふわり、強い強い光と花が舞いました。
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