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ひつじの住処です
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【蛍火の宙】

「ちょっと休んでてね。」

 そうい言い残して旦那は小走りにどこかへ行って。
戻ってきた時には手に白いふわふわなものを持ってた。

「これ、ひつじみたいだよね。」

 そう言いながら、旦那は真っ白なふわふわを私に差し出したの。
雲みたいな、私の毛みたいな。

「なぁに?」
「あげるよ。」
「ふぇ、ありがとうなの!」

 ふわふわの物体に、手を伸ばしてみる。
これ、つかめるのかな?雲みたい!

「ちょ………!」

 その雲に触れるか触れないかのところで、私のおてては旦那に捕まれてた。
ぎゅーって。
ちょっとどきどきしちゃうのよ。

 旦那は笑いながら私を見ていて。

「手べとべとになるよ?」
「そうなの?」
「そうなの。ほら。」

 ふわふわについてる木の棒を私に握らせてくれたの。

「食べてごらん?」
「食べれるの?」

 この、ふわふわの雲が?
私の毛は、食べたって美味しくないのよ。

「きっとひつじが好きな味だよ。」
「ふえ…」

 一口。
やっぱりそれはふわふわで。
でも口に入れるとすーっと溶けてった。

「あ…甘い!」
「気に入った?」
「うん!これ好き!!美味しい!!」
「良かった。」

 甘くて優しくて。
なんだか幸せな味がするの。

「やっぱりひつじは、色気より食い気かな?」
「めぇ?」
「いいよ食べてて。」
「うー………?」

 ダメなの、いい女は色気もなきゃダメなの!
だから食べながら考えるの。

 でもよく分からないな…
旦那の方を見ると、蛍さん達が一匹二匹………
きらきらしながら飛んで行った。

「ひつじ、ふわふわも好きだけど、旦那といられるのが一番幸せなのよ。」
「……………」

 旦那は何故か一瞬すごく驚いた顔をして。
で、にっこり笑ってくれた。

「ありがとう。」

 幸せしあわせ。
旦那の横で食べるふわふわだから、きっと幸せの味がするのね。
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