ひつじの住処です
[1]
[2]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「わぁっ!すごいの!ヒトがいっぱいなのよ!」
ヒトの姿になった子羊は、目をきらきらと輝かせます。
島の市場に足を踏み入れると、そこはヒトであふれていました。
「例の彼は見つかりそう?」
ひつじの後ろをゆっくりとついてきた僧侶様は、大きく伸びをしました。
ふわふわの茶髪がふわりと揺れます。
「探すの。愛の力は偉大なのよ!」
「うん、それならきっと見つかるね。」
少年は、振り返りにっこり笑うひつじに笑顔を返し、そしてひつじの頭を優しく撫でました。
「僕はここでお別れだからね。」
「ふえぇぇぇぇぇえ」
「僕が出来るのはここまでだよ。むしろ、ここからもついて行ったらおじゃま虫になっちゃう。」
僧侶様が笑いながら言うと、ひつじは頬を赤くしてうつむきます。
「うー………僧侶様、ありがとうなのよ。」
「後はひつじが頑張るんだよ。」
「うん!ひつじ頑張るのっ!だからまず”旦那”を捜すのよ!」
「だんな…?」
僧侶様が首をかしげると、ひつじは力強く頷きました。
「旦那なの!ひつじの飼い主は、いつもひつじに”旦那”の話をうれしそうな顔して話してくれたのよ。
”旦那”って大好きな人のことなのね!」
「…………うぅん…間違ってはいないんだけど…気が早いっていうかなんていうか…」
「違うの?」
「うぅん……まぁ………いいんじゃないかな旦那様で。」
「うん、旦那なの!」
ひつじはうれしそうに笑い、そしてにぎやかな市場を見つめました。
「じゃあ、ひつじは行ってくるのよ!」
「うん、気をつけて。いってらっしゃい!」
「僧侶様も、元気でいてね!」
「うん………あ………ちょっと待って、ひつじちゃん。」
僧侶様に引き留められ、ひつじは歩みを止めて振り向きました。
「なぁに?」
「これを持って行くといいよ。」
僧侶様は、大きなケースをひつじに差し出しました。
ひつじの腰ほどまで高さのある、細長い大きなケースです。
「うー…ちょっと重いのよ…これなぁに?」
「僕の楽器なんだけど、ひつじちゃんにあげる。銀色だから、きっとひつじちゃんに似合うよ。」
「う?」
「トロンボーンっていうんだ。まずは持って行って。吹き方は後々、教えてあげるから。」
「…………うん!ありがとうなの!ひつじ、大切にするのよ!」
ひつじは、うれしそうに微笑みました。
そんなひつじの姿を見て、僧侶様も微笑みます。
「うん、キミはずっと笑っていて。旦那の元で幸せになって。」
「うん!ひつじシアワセなの!ずっとシアワセでいるの!!!」
ひつじは今度こそ、僧侶様に背を向け、歩き出しました。
小さな小さな子羊の冒険は、まだはじまったばかりです。
ヒトの姿になった子羊は、目をきらきらと輝かせます。
島の市場に足を踏み入れると、そこはヒトであふれていました。
「例の彼は見つかりそう?」
ひつじの後ろをゆっくりとついてきた僧侶様は、大きく伸びをしました。
ふわふわの茶髪がふわりと揺れます。
「探すの。愛の力は偉大なのよ!」
「うん、それならきっと見つかるね。」
少年は、振り返りにっこり笑うひつじに笑顔を返し、そしてひつじの頭を優しく撫でました。
「僕はここでお別れだからね。」
「ふえぇぇぇぇぇえ」
「僕が出来るのはここまでだよ。むしろ、ここからもついて行ったらおじゃま虫になっちゃう。」
僧侶様が笑いながら言うと、ひつじは頬を赤くしてうつむきます。
「うー………僧侶様、ありがとうなのよ。」
「後はひつじが頑張るんだよ。」
「うん!ひつじ頑張るのっ!だからまず”旦那”を捜すのよ!」
「だんな…?」
僧侶様が首をかしげると、ひつじは力強く頷きました。
「旦那なの!ひつじの飼い主は、いつもひつじに”旦那”の話をうれしそうな顔して話してくれたのよ。
”旦那”って大好きな人のことなのね!」
「…………うぅん…間違ってはいないんだけど…気が早いっていうかなんていうか…」
「違うの?」
「うぅん……まぁ………いいんじゃないかな旦那様で。」
「うん、旦那なの!」
ひつじはうれしそうに笑い、そしてにぎやかな市場を見つめました。
「じゃあ、ひつじは行ってくるのよ!」
「うん、気をつけて。いってらっしゃい!」
「僧侶様も、元気でいてね!」
「うん………あ………ちょっと待って、ひつじちゃん。」
僧侶様に引き留められ、ひつじは歩みを止めて振り向きました。
「なぁに?」
「これを持って行くといいよ。」
僧侶様は、大きなケースをひつじに差し出しました。
ひつじの腰ほどまで高さのある、細長い大きなケースです。
「うー…ちょっと重いのよ…これなぁに?」
「僕の楽器なんだけど、ひつじちゃんにあげる。銀色だから、きっとひつじちゃんに似合うよ。」
「う?」
「トロンボーンっていうんだ。まずは持って行って。吹き方は後々、教えてあげるから。」
「…………うん!ありがとうなの!ひつじ、大切にするのよ!」
ひつじは、うれしそうに微笑みました。
そんなひつじの姿を見て、僧侶様も微笑みます。
「うん、キミはずっと笑っていて。旦那の元で幸せになって。」
「うん!ひつじシアワセなの!ずっとシアワセでいるの!!!」
ひつじは今度こそ、僧侶様に背を向け、歩き出しました。
小さな小さな子羊の冒険は、まだはじまったばかりです。
PR
ある所に小さな子羊がいました。
子羊は人間の男の子に恋をしました。
ひつじは高名な僧侶様に頼みました。
「あの人とお喋りがしたいの。
私は、人間にはなれないのかなぁ?」
僧侶様は言いました。
「僕で良ければ、君の願いを叶えてあげるよ。」
僧侶様は続けます。
「でも、その恋が叶わなかったら、君は海の泡になって消えてしまう…」
「!!!?」
「なんてことはないんだけどね!」
驚く子羊のふわふわの毛を撫でながら、僧侶様は言いました。
「僕の魔法は不安定だから…
いつ元の姿に戻ってしまうかも分からない、逆に戻りたくても戻れないかもしれない。
それでもいいの?」
「彼と一緒にいられるのなら。」
深く頷く子羊を見て、僧侶様はにっこりと微笑みました。
「彼の側で幸せになれる事を祈ってるよ。」